「アサーショントレーニング」という言葉を聞いたことはありますか?
あまり聞き馴染みがない言葉だと思います。ですが、多くの人にとってこの言葉は非常に大切です。
この記事では、「アサーショントレーニング」という言葉の意味を解説します。
1.アサーショントレーニングとは
アサーションとは、主張・自己主張という意味です。多くの人は、子ども時代に受けたしつけや社会的規範などによって抑制的になってしまっていて、もっと活動的になるためにはアサーション(自己主張)が必要である、という考えからアサーショントレーニングが1950年頃米国で生まれ、様々な理論や技法の研究が進んでいます。アサーショントレーニングにおいて、主張は自分のことだけ考えて相手のことは考えない「攻撃型=アグレッシブ」、相手の気持ちを大切にしようとするが、自分の気持ちは言わない「非主張型=ノンアサーティブ」、自分の気持ちを伝えようとし、相手の気持ちを大切にしようとする「バランス型=アサーティブ」の3つに分類されます。
2.アサーショントレーニングの方法
子どもたちを対象としたアサーショントレーニングでは、バランス型=アサーティブの主張の大切さを話し合いやロールプレイを通して考え日々の生活に落とし込みます。また、発達障害のある人は、自分の特性を他者に適切に理解してもらい不利益を被らないというセルフアドボカシーの観点でも、アサーティブに話をできることは大切です。
以下に、アサーショントレーニングのツールの一例を挙げさせていただきます。
アサーティブになるためには、3つのステップがあります。
①まず自分の言い分だけを優先する「攻撃的な言い方」を考える
②次に、相手の都合だけを優先する「非主張的な言い方」を考える
③ ①と②を組み合わせて、バランスの良い言い方を考える。
①では、相手の気持ちは考えずに、自分のことだけを思った言い方を考えましょう。
例えば、「あなたが遅刻したせいで映画に遅れた!」「遅れるなら連絡の一つくらいしてよ!」
という言い方が挙げられます。
②では、自分の気持ちは考えずに、相手のことだけを思いやった言い方を考えましょう。
例えば、「大丈夫だよ、また今度行こうね。」「しょうがないよ!」
という言い方が挙げられます。
③では、自分の気持ちも相手の気持ちも大事にし、ていねいな言い方を考えてみましょう。
客観的状況、自分が感じたこと、提案、フォロー(代替案の提示)の要素を取り入れます。
「映画、見れなかったね。遅れそうならそのタイミングで連絡してほしかったな。でも、まあ、また今度見に行こうね。時間もあるし、今からご飯でも行く?」
このような言い方だと、アサーティブな言い方になっています。
お子さまにアサーショントレーニングを行う際は、上記のワークシートを基になるべく分かりやすい場面を設定し、必要であればサポートしながら3つのステップを考えていきましょう。
〈参考〉
『特別支援教育の理論と実践』第4版,2023年4月1日, p.126, 一般財団法人特別支援教育士資格認定協会編
東京大学医学部附属病院webサイト http://npsy.umin.jp/pdf/nyumon7.pdf